姫路市の「区」

姫路市の地名を見ていると、「兵庫県姫路市飾磨区三宅1丁目192」のような地名があります*1

 

「区」といえば、東京23区や大阪市のような政令指定都市です。具体的には、地方自治法第二百五十二条の二十に下記の記述があります。

指定都市は、市長の権限に属する事務を分掌させるため、条例で、その区域を分けて区を設け、区の事務所又は必要があると認めるときはその出張所を置くものとする。

地方自治法 | e-Gov法令検索

さて姫路市は人口が522835人と多いですが、姫路市政令指定都市ではありませんし、東京都の特別区部(いわゆる23区)でもありません。でも、「兵庫県姫路市飾磨区三宅1丁目192」となっています。なぜでしょうか?

 

答えは簡単で、姫路市のWebページにも書いてあります。 

姫路市には、飾磨区網干区などといった「区」が付く地名がありますが、これらの「区」は、地方自治法に定める東京都の特別区政令指定都市の区とは違い、同法が施行される以前の1946年3月に、周辺市町村と合併したときに用いた町名の一部です。

www.city.himeji.lg.jp

都道府県」の4文字でsplitすると京都府「京」になってしまう問題は有名ですし、都道府県のパースや「市川市」で先に学んで、「区」ではsplitを使う人なんていないと思いますが、頭の中で「区」だからといって政令指定都市だと思うのもたまには間違いになります。「区」でも注意しましょう…

*1:ちなみにこれはestie マーケット調査で提供している田中興産ビルのデータですが、ビルの選定に深い意図はありません。

日当たりを求めて高層階へ?

数日前、冬至に先立って「1年で最も日没が早い日」でした。

窓が大きいオフィスを好んだり、日影規制を設けたり、人は特に日光を求めているように思えます。高層ビルの高い階は他のビルの影になりにくいため、より賃料が高くなるかも知れません。もちろん日当たりではなく、遠くまで見通せることや皇居が見えることなどが賃料に繋がることもあります。

初日の出は離島を除くと富士山が日本一早いように、高層階ほど太陽が沈むのが遅くなり、日光が当たる時間(日照時間)が長いはずです*1。極端な図で書くと、以下のようになります。

1階が夜でも高層階には日が当たる超超高層ビル

地上から見渡せる距離 - 高精度計算サイトを使って計算したところ、高さ350メートルで70キロメートル先まで見通せるようです。地球の自転の速度は東京付近で時速1350キロメートル程度なので、3分ほど日没が遅くなります。朝も同じように3分ほど日の出が早くなるので、合計6分ほど太陽を長く見られます。思ったより日当たりを稼げませんでした。

季節にも依りますが、1時間長く太陽を見たいなら高さ30000メートル、およそ1000階建ての建物が必要になりそうです。横浜ランドマークの時速45キロメートルを誇るエレベータが直通していても地表から40分、紫外線に晒され気温はマイナス数十度という過酷な環境です。建設も難航しそうです。

ちなみに、地下だと1階下がるだけですぐに日照時間をほぼ0にできます。

*1:日照時間とは直射日光が「地表を」照射した時間らしいですが、今回はその場所から太陽が見える時間をざっくりと呼びます。日の出や日没も同じようにざっくりと呼びます。福岡管区気象台

"東京都港区西新橋2丁目24~31"を歩いて

私が働いている株式会社estieが東京都港区西新橋に移転してから約半年、飲食店巡りを兼ねて近くの道を歩き回っています。地名順にも見たところ、東京都港区西新橋2丁目23の次は、東京都港区西新橋2丁目32でした。そこには広い道があり、町を削ったのだろうと予想できます。この道は東京都道405号、地下には築地虎ノ門トンネルが通っています。

国土地理院地図でその場所を調べると、2014年には道が完成しています。そして2009年には区画が残っています。おそらく西(左)から東(右)へと、24番地から31番地があったのでしょう。

2014年の西新橋2丁目

2009年の西新橋2丁目

さらに遡って1987年~1990年の航空写真では、西新橋2丁目が道で分断される前の様子が見られます。

 

1990年頃の西新橋2丁目

Wikipedia情報ではありますが、1923年に帝都復興計画でこの都市計画道路が計画され、帝国議会によって廃止。また昭和10年代末に計画が復活し、太平洋戦争中には建物疎開が行われ、1945年に戦災復興都市計画で閣議決定。その後、用地買収が難航するも、1989年に立体道路制度によって再開、そして2014年3月29日に開通という、約100年の紆余曲折を経た道のようです*1

 

現状だけ見ると、虎ノ門ヒルズから日比谷神社の参道のようにも見えます。日比谷神社は現在の日比谷公園の場所にあったが、江戸城の拡張によって東新橋に、東海道線の敷設によって新橋4丁目に、そしてこの東京都道405号によって現在の位置に遷座しているようです。日比谷神社 - Wikipedia

2022年の西新橋2丁目(東新橋一丁目交差点から西方向)

2022年の西新橋2丁目(東新橋一丁目交差点から東方向)

 

さて、環状第2号線(築地-新橋)本線開通|東京都によれば、2022年の12月18日には環状第2号線(築地・新橋間)本線が開通し、これをもって環状第2号線の全線が開通となります。これに先立ち、都内在住者対象のウォーキングイベントが有るらしいので、参加してみてはいかがでしょうか。

環状第2号線(築地-新橋)開通記念イベント|東京都

*1:実際の道の形はそこまで紆余曲折ではない

どんなビルはどんな構造か

引っ越したいと思いつつ、理想の家が見つからないままズルズルと2ヶ月が経とうとしているaruke_arukeです。今回は、住宅でも気にする建物の構造(鉄骨造・鉄筋コンクリート造・木造とか)を見てみました。

 

住宅を探していると、木造は地震や火災が怖いとか、鉄筋コンクリートじゃないと音が気になるとか、その結果木造は家賃が少し安いとかいろいろ聞きます。オフィスビルでも地震や火災は怖いし、隣の音が聞こえるのが嫌なのは変わりありません。そもそもあまり木造のオフィスビルって聞いたことないし、オフィスビルは窓大きいがちなのも関係するかも知れないし...と思いながらestieのデータを使って調べてみました。

 

www.estie.jp

 

それぞれの構造の特徴

今回は、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の4つに絞りました。雑にまとめるとこんな感じ...?

構造 木造 鉄骨造 鉄筋コンクリート 鉄骨鉄筋コンクリート
価格 安い 普通 高い とても高い
耐震性 低い 高い 高い とても高い
耐火性 低い 高い 高い とても高い
断熱性 高い 低い 低い 低い
遮音性 低い 低い 高い

高い

 

緯度(気温)と構造

最初に思いついたのは、「寒いところでは断熱性の高い構造である」という仮説です。ですが大抵のオフィスビルは木造ではなく、緯度と構造の関係はあまり見つかりませんでした。日本には四季があるので寒くても暑くても断熱性は関係してくるので関係なかったのかも知れません。

 

最近不動産でよく聞くESG的にも断熱性が高い建物は望まれていると思うので、この観点では断熱性を諦めざるを得ない状態なのでしょうか...? 新素材・新工法にこっそり期待してます。

 

階数と構造

次に考えたのは、階数と構造の関係です。興味本位でコンクリートを作ってみたくなった中学時代、鉄筋コンクリートは引っ張る力と押しつぶす力のそれぞれに強い材料を組み合わせているんだと聞きかじったので、「高い建物はコンクリートを使って重さに耐えるだろう」と思いつつ調べ始めました。階数毎に割合を積み上げグラフで書いてみたところ以下のようになりました。

 

f:id:aruke_aruke:20220405201601p:plain

階数に対する構造の割合の積み上げグラフ(棟数ベース)

木造はほぼないですが、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の4構造でほぼ全てを網羅できていました。ちなみに、鉄骨造と鉄筋コンクリート造の両方を取り入れたビルはそれぞれ0.5棟とするなど、単純に按分しています。

 

思ったより積み上げグラフでは様子がわかりにくかったので、積み上げない折れ線グラフも下に書いてみました。

f:id:aruke_aruke:20220405201652p:plain

階数に対する構造の割合の折れ線グラフ(棟数ベース)

わかりやすいのは、木造はせいぜい3階建てであること。そしてビルが高くなるにつれて、鉄骨造(1〜3階)、鉄筋コンクリート造(3〜7階)、鉄骨鉄筋コンクリート造(8〜15階)が多くなるという傾向です。高さに応じて適した構造があるっぽいですね。このように、15階まではコンクリートは圧縮に強いから高い建物になるほどコンクリートを使うんだな...という中学時代の伏線回収で終わりでした。

 

しかし、一度コンクリートにシェアを奪われた鉄骨造が、16階あたりを境にまた使われるようになります。高さに応じて適した構造があるとして、突然16階建てから鉄骨が適した構造になるなんてあるんでしょうか? そういえば15階は、住宅で有名な階数です。

 

住宅の話では「15階建てのマンションと14階建てのマンションは大きく違う。」とよく聞きます。14階建ては二重床だったりそもそも天井が高かったりして住みやすく、逆に15階建てはそのような部分が削られているので、15階建てには注意した方が良いという話です。

 

これは建築基準法や消防法的に、高さが45メートルを超えると建物の制限が変わるからと聞いたことがあったのですが、具体的にどう変わるのかまでは調べたことがありませんでした。

 

・地階を除く階の構造耐力上主要な部分である柱及びはりは、鉄骨造又は鉄骨鉄筋コンクリート造であること。

高さが四五mを超え六〇m以下の建築物の構造審査について

 

なるほど謎は解けました。念のためestieのデータベースを調べてみると確かに16階以上の鉄筋コンクリート造のビルはありません(地下が鉄筋コンクリート造のビルが按分されてグラフには現れています。)。

 

……いや、正確には1棟だけ登録されていましたが、調べ直したところ正しくは鉄骨造でしたので直しておきました。1000棟以上ある中の間違ったデータも、こういう知識があるとすぐ見つけられて良いですね。

 

基準階面積と構造

基準階面積については前の記事で説明していますが、ざっくり説明するとワンフロアの面積です。

aruke-aruke.hatenablog.com

おそらくオフィスには柱がない方がうれしいので、「基準階面積が大きなビルは(水平方向に強く支えられそうな)鉄骨を使うのでは?」という仮説の検証です。基準階面積に対する構造を出力してみたところ、以下のようになりました。

 

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基準階面積に対する構造の割合

仮説は正しそうです。基準階面積が1部屋とは限らないので先ほどの仮説は基準階面積のみで検証できませんが、ワンフロアが大きいビルほど鉄骨を使っていました。基準階面積が大きいビルは階数が高いことが多いのもあり、徐々に鉄骨造が増えているのかも知れません。10坪あたりで鉄骨造が多いのは、10坪分なら鉄骨の圧縮強度でも余裕かも知れませんし、3階建て程度だから鉄骨造が多いだけかも知れません。

 

おわりに

今回は立てた仮説を検証しただけで、驚くべき発見ができなかったのは残念です。しかし、データをきれいにするために、建築基準法や消防法を学ぶアプローチもあると思えました。

 

他にも、地図上に構造を書いて地盤の強さを推定したり、ビルの重さの推定したりもやってみたいです。重量鉄骨造と軽量鉄骨造などの使い分けや、32階から鉄骨造が増える理由も調べたいです*1

 

ちなみに東京タワーは鉄骨造で、東京スカイツリーは鉄筋コンクリートと鉄骨造を組み合わせた制震構造らしいです。

*1:気のせいかも知れない

不動産屋の電話番号「2103」

はじめに

私は数字が好きで、自動車のナンバープレートの番号や携帯電話の番号をよく見ています。社員番号や、オフィスの什器の型番も気にしてしまいます。例えばタクシーのナンバープレートが1729だといいなと思いますし*1、WeWorkからのメールの署名に「575 Lexington Ave」と書いてあると俳句の五七五を思い出します。

 

私が働いている株式会社estieは不動産を扱っています。以前のブログで紹介したようにOfficeが数字に見えてしまう私は、「不動産」さえ数字として捉えて遊ぶことがあります。

 

といってもOfficeはHexspeakで書けるとかいうニッチな変換では無く、不動産は、ふ(2)どー(10)さん(3)と語呂合わせができるというだけです。4桁なのでナンバープレートや電話番号の下4桁にするのもちょうどよく、オススメはしませんがパスワードに設定している人もいるかも知れません。他にも不動産屋の電話番号には2626(広々)や不動産の日である9月23日から0923も多いかも知れません*2

疑問:電話番号をふ(2)どー(10)さん(3)の語呂合わせで2103とする不動産屋はいるだろうか

 

電話番号の構成(余談

日本の固定電話番号は総務省が管理しており「市外局番」*3をはじめとした、市外局番+市内局番*4+加入者番号で構成されています*5。市内局番も、NTTが「収容局」と呼ぶ地理的な区画で分けられています。このように市外局番と市内局番はイチが決まってしまうとほぼ自動的に決まってしまって選ぶのが難しいですが、加入者番号は比較的選びやすそうです。実際、いくつか電話番号を選べるサービスは検索すると出てきました。

 

携帯電話に比べ、固定電話では特に法人が番号に語呂合わせをつけている様子をよく見ます。0120-444-444は再春館製薬所(ドモホルンリンクル)のテレビCMでおなじみかと思います。BtoC*6に比べBtoB*7は普段目にすることが少ないですし、記憶に頼らず名刺などを使いそうなので効果は薄いかも知れませんが、あると少し嬉しいです。

 

不動産屋の電話番号は2103で終わるのか?(本題)

不動産屋の電話番号を調べてみると、約0.33%も下4桁が2103でした。まんべんなく割り振られるなら10000分の1=0.01%なので、約33倍も選ばれています。他にも多い番号には1111や2222、0001などがありました。なぜか0000は見つかりませんでした。

多いパターンは

  • 2103
  • ゾロ目(1111など)
  • 下2桁が00(1000や1200)
  • その他の切りのいい数字(1234)
  • 小さな番号(00XXや、1011のような01だけで構成される4桁など)
  • 5252のような2桁の繰り返し

に大別でき、不動産屋らしさを感じられたものは2103だけでした。

 

他の予想は全て外れていました。広々だから「2626」や、不動産の日にちなんだ「0923」は0.01%も見つかりませんでした。不動産特有の「1平方メートル=0.3025坪」にちなんで「3025」としている不動産屋があれば嬉しいなと思っていましたが、これも0.01%も見つかりませんでした。

 

おわりに

結論:不動産屋の電話番号は2103の割合がとても高かったので、多分いる

2103で終わるかも知れないと気がついて調べ始めた結果、それ以外のおもしろいデータの癖を見つけることはできなかったのが少し残念です。例えば同じ下4桁を様々な支店で統一する性質はいくつか見つかりましたが、これは不動産業界特有の物では無いと思います。

 

あと、語呂合わせ一覧という膨大な数の数字の語呂合わせを載せているページを見つけました。2103は「不(2)死(10?)身(3)」「自(2)転(ten=10)車(3)」の2つが載っていましたが、残念ながら不動産という語呂合わせは載っていませんでした。

 

ちなみにこの記事は不動産の2103にかけて、本文が2103文字になるように書いたつもりです。

 

今回は地理の深い考察もなく適当に電話番号の下4桁をカウントしただけなので、この記事を読んでいい会社だと思うかは別として、株式会社estieのことが知りたい方は下のリンクからご覧ください。

 

www.estie.jp

 

*1:詳しく知りたい方はタクシー数で調べて、ラマヌジャンとハーディの逸話をお読みください

*2:不動産の日が9月23日なのは、秋に取引が多くなることと、ふ(2)どー(10)さん(3)→にじゅうさん→23日という語呂合わせのようです。不動産の日 | 消費者のみなさまへ | 全宅連

*3:総務省|電気通信番号制度|市外局番の一覧

*4:総務省|電気通信番号制度|電気通信番号指定状況 (電気通信番号計画(令和元年総務省告示第6号)第1第4項による公表)

*5:厳密に言うと、一般的には市外局番に含まれる最初の0は「国内プレフィックス」と呼ばれ、市外局番ではないらしい

*6:一般消費者との取引

*7:企業間の取引

"Office"はチョコミント色(Hexspeak)

Hexspeakという概念があります。英語の変わった表記法の一種で、ABCDEFという6種類の文字だけで英単語や熟語を表す方法です。なぜこの6種類かというと、この6種類の文字を数字と見なす16進法というものがあり、コンピュータが使う2進法*1と、とても相性がいいからです*2。6種類だけでは厳しいですが、0<ゼロ>はO<オー>に見え、1はI<アイ>に見え、5はSに見えるため、この3文字を追加して遊ぶこともあります。

 

……ということを知ってはいましたが、これを知ったのはestieに入る数年以上前。しかもHexspeakの概念を知った後も、数日経てば英単語を見てもHexspeakで表せるかほとんど考えてきませんでした。しかし突然OFFICEがHexspeakで表せる単語、Hexspeakable wordだと気がついたのでこのブログは誕生しました(Hexspeakableは造語です。分からなくても安心してください)。

 

この機会に、同じような6文字の単語を調べてみたところ、ANC英和頻度辞典の頻出単語*3にはaccess・acidic・assess・basics・beside・coffee・decade・decide・dosage・obsess・officeの11種類がありました*4

 

ちなみにこれまたコンピュータの都合でHexspeakは4文字や8文字をよく使いますが、珍しく6文字を使う場面があります。それが、カラーコード(ウェブカラー)です。カラーコードの仕組みは、赤・緑・青の強さを2文字ずつで表す形式で、以下の図のようになっています(0, 1, …, 9, A, B, C, D, E, Fの順に大きな数字、つまり強い色になります)。

カラーコードの仕組み。pngにしたら色がずれてしまった?

例えばestieが作るスライドは#29B6F6、#26C6DA、#203041を基調としています*5。このように、Hexspeakableな6文字の単語は色として解釈できます。

 

そこで、OFFICE(#0FF1CE)を色として解釈すると、こんな色になります。チョコミントみたいですね。社員に聞いたところ、ティファニー(#68C3C5)、ベンチャーキャピタルのmint(#5AC5C6)、KKday(#59B5C2)などが近そうと言っていました。私は自転車のBianchiと思いましたがBianchiに決まった色はないそうです。

 

RGBそれぞれが、他のサービスの色とどの程度離れているかを計算してみました。代表的なSNS&Webサービスのブランドカラーコード29選|ferretBrandColors - official brand color hex codesの色と比べたところ、最も近いのはunity-5で#19E3B1(こんな色)。距離*6にして53です。近い色に見えましたが、2137色と比べた割には距離が53もあります。距離が53未満の色の割合は0.7536%なので、ランダム*7にロゴの色を選んでいるならば、1000万分の1(((1-0.007536)^2137))でしかあり得ないほどロゴとしては使われにくい色ということになります。他であまり使われていないので、一目でサービスを思い出してもらえる色かも?

 

このように裏話を作れる色ですが、Webページや製品・サービスのテーマカラーにするには派手すぎる印象を受けたので、いつかこっそりとハイライト程度に混ぜ込んでみます。逆にこれからはチョコミントの色を見る度にestieを思い出していただけたら幸いです。

www.estie.jp

関連

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*1:10進法に比べると

*2:私はこのあたりの話が好きですがこのブログと相性が悪いので省略します。

*3:頻度が100以上の単語とした

*4:泥臭い作業が好きだとはいえ、プログラムで検出しています。安心してください

*5:HTMLの設定上は上記の数値ですが、環境によっては少しずれた色になるかも知れません

*6:今回はRGBそれぞれの色の差の和として計算

*7:赤緑青それぞれを一様の確率で0から255で選ぶように

オフィスビル重心

はじめに

人口重心」という概念があります。これは住民全員の体重が同じとしたときの重心であり、総務省統計局が計算しています。人口重心の一点で支えれば、日本国民の体重でバランスが取れるという概念です。

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人口重心の概念図

人口重心の推移によると人口重心岐阜県にあり、国勢調査の度に数キロメートルずつ東南東に移動していることが首都圏への人口集中の現れでもあります。

同じように、オフィスビルの"重心"の変化を調べてみました。ちなみに地球は丸いですが、緯度経度のそれぞれの重心で計算しました。

 

手法

estieが持つオフィスビルデータを使い、人口重心と同じようにオフィスビルの「重心」を求めました。

ただし、主に以下の3点が異なります。

  • オフィスビルの"重さ"は延床面積とする*1
  • 5年ごとに区切り、1957年7月〜1962年6月の間に竣工したビルを、「1960年」のデータとする。つまり「1960年頃に建っていたビル」ではなく「1960年頃に新たに建ったビル」で計算する
  • 市区町村や街区毎ではなく、ビル1棟1棟の緯度経度を用いる

 

結果

下の図のように、東(首都圏)へ移動していました。

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オフィスビル重心の推移(1960年〜2020年)。OpenStreetMapに描画。

1960年頃には岐阜県にあったオフィスビル重心は、2020年には埼玉県と東京都の境あたりまで移動しました。1960年から2020年にかけて、167 kmほど移動しました。人口重心が少し南に移動しているのに比べ、オフィスビル重心はあまり南に移動していませんでした。

 

人口重心が「生きている住民」なのに比べ、オフィスビル重心が「生まれたビル」なので急速に移動する可視化にはなりますが、予想以上に移動していました。徐々に東へ移動していますが、特に1965年頃は、西に比べ東にビルが多く*2建っているようです。また、1980年から2000年頃はあまり動きませんでしたが、2005年あたりからまた東へ移動しています。

 

考察

人口とオフィスビルにはかなり強い相関がありそう*3なので、東へ移動しているのは首都圏への人口集中と関係がありそうです。

1965年付近の出来事と言えば、

でしょうか。特に首都圏という意味ではオリンピックが大きく関係しているかも知れません。2000年頃からも東に移動していましたが、ぱっと思いつきませんでした。

 

私は不動産に関わり始めてまだ1年ほどなので、社内の詳しそうな人に聞いたところ、このデータを見せていないのに

・戦後〜東京オリンピックまでは一気に東京都心に投資が集中(霞ヶ関ビルとか)
・投資、開発が一巡し、バブル前後で地方都市や首都圏郊外でのオフィス開発が進み、分散化(幕張、臨海部など)
・2000〜都心部の空洞化が問題になり都市再生に舵を切る(丸ビル、六本木ヒルズ)国家戦略特区、都市再生特別地区とか→都心部にオフィスが急速に集積

と返ってきて、データにそれが非常に現れているなと思いました。不動産の歴史を知っていてデータで再確認する人が多いかも知れませんが、私はデータを説明する説明が得られてうれしいです。

 

他の仮説

他にも色々考えてみました。

例えば、首都圏のビルは築年数が平均的に短い可能性もあります。平均築年数は首都圏で1996年(26年前)、首都圏以外で1987年(35年前)であり、10年も異なりました。首都圏のビルが比較的新しいこともオフィスビル重心が首都圏に近付いて見えた要因になりそうです*4...が、築30年以内に解体されるビルは少ないと思うので、最近の重心の移動はやはり首都圏への集中と言えそうです。

 

他にも、首都圏に超巨大なビルが1965年頃に建てられた可能性もあります。1965年に日本ビル(50000坪以上)が建っていましたが、日本ビルがあと50棟建ってやっと説明できるほど移動していたので数棟のビルだけで説明できるズレではありませんでした。

 

また、雑に言えば寿命が50〜70年程度と言えそうで、鉄筋コンクリート造のオフィスビルの償却年数である50年とほぼ一致したことも確認しました。

 

おわりに

人口重心という概念をオフィスビルに適用するという思いつきから、不動産の歴史が見えてきたのはおもしろかったです。徐々に首都圏に近付く以外だけでなく波が見えたので、ここからまた100年データをとり続ければ国家戦略や開発の一巡などについて更にわかることが出てくるかも知れません。リモートワークなどの新しい働き方によって、更に違う傾向が現れるかも知れません。

 

そしてこの記事を書いていて、どんなビルが古くなっても解体されにくいかの知見・データが得られそうな記事が思いついたので、またいつか書こうと思います。

www.estie.jp

*1:つまり、延床面積1000坪のビルは延床面積200坪のビル5個分に相当

*2:もしくは延床面積が大きいビルが

*3:千代田区は人口に比べオフィスビルが多いのでなので難しいですね。通勤可能な範囲と言うか...

*4:1965年頃のビルが首都圏に近づいている傾向とは逆ですが...